株式会社創研

スレート屋根、雨漏りの本当の原因と修理方法

 屋根は普段見ない場所なので
「スレート屋根がヒビ入ってます。このままじゃ雨漏りしますよ」
 と、訪問販売に言われ、初めて、屋根のお手入れを一度もしていない。と気が付く方もいらっしゃいます。突然このようなことを言われると不安になります。
 
 実はスレート屋根はヒビが入っているだけでは雨漏りはしません。このブログでは、スレート屋根からの雨漏りの原因と修理方法を解説します。
 雨漏り発生のメカニズムを知ることで、不安を解消しましょう。
 

<目次>

 

 

スレート屋根ってどんな屋根?

スレート瓦と和瓦の違い

 
築20年経過したスレート屋根。色あせと苔が見られますが、雨漏りしているかはわかりません。
 
 スレート屋根からの雨漏りについて知る前に、そもそも、「スレート屋根」ってどんな屋根かご存じですか?
 お客様の屋根の素材をうかがうと「スレート」と言ったり、「コロニアル」「カラーベスト」など、様々な屋根の素材をお答えいただきますが、実は、「コロニアル」「カラーベスト」というのはメーカーが付けた商品名で、すべて「スレート瓦」に分類されます。
 
 スレート屋根はスレート瓦を使った屋根の総称となりますので、コロニアルの方も、カラーベストの方もスレート屋根といいます。
 
 スレート瓦とはセメントをベースに繊維を混ぜて作られた瓦で、和瓦のように波打った形ではなく、平らな板状で、色や形にバリエーションがあり、建物の個性を演出できる屋根材です。
 
 スレート瓦は和瓦に比べ軽量な為、耐震性が高く、建物の負担が少なく、コストが抑えられ、1990年代から多くの住宅に使われるようになりました。
 昔からある「和瓦」は粘土で作られている為、強度も耐久性も高いですが、地震などの揺れに弱く、落下する危険性があります。
屋根の重量のイメージ図 スレート屋根と和瓦の屋根の比較
  1㎡あたりの重さで比較すると、スレート屋根は約20Kg、和瓦は約50Kgと2.5倍の差があります。屋根の上がこれだけ重さが違うと、地震が起きたときの建物の揺れが違います。
 この重さがの違いが、スレート屋根が耐震性に優れていると言われる所以です。
 
 一方で和瓦はその重さから、屋根が重くなり、建物の耐震性が低くなるため、近年では取り入れられる家が減ってきています。
  瓦はメンテナンスいらずですが、漆喰は定期的に打ち直しが必要になります。
伝統的な和瓦の家。都市部では減っていますが、農家さんの家では母屋に和瓦を使った家が見受けられます。

屋根の構造

屋根の構造(小屋組み) スレート屋根の一般的な構造の図
 雨漏りについて知るには、屋根がどうやって作られているか?を知ることがが大切になります。
 
 一般的なスレート屋根の作り方としては、「小屋組み(こやぐみ)」と呼ばれる屋根を支える為の骨組みを作ります。小屋組みは屋根を支えるのに、構造的に大変重要な場所です。
 雨の侵入を防ぐ為、小屋組み全面に防水シートを敷き、その上にスレート瓦を重ねるように並べ釘で止めていきます。
 屋根同士がぶつかる「棟(むね)」や「谷(たに)」と呼ばれる場所には板金を施し、水が入らないよう雨が流れる道を作ります。
 和瓦の家の場合、棟部分も瓦ですが、スレート屋根の場合は金属製の棟押え板金で屋根を固定します。
   
 これが一般的なスレート屋根の構造です。
 
 
 瓦だけで雨を防いでいると思いますが、屋根材が防ぎきれず侵入した水は防水シートが防ぎます。スレート瓦は工場で作られたときに塗装が施され、防水の機能がついています。雨水に対してここまで対策をしているのにも関わらず、なぜ雨漏りしてしまうのでしょうか?雨漏り発生のメカニズムを説明していきます。
 

スレート屋根が雨漏りするメカニズム

 防水シートの切れ目が雨漏りの原因

 
 屋根に降り注いだ雨は、屋根に傾斜があるため、スレート瓦の上を流れ、雨どいへ集まり、排水される仕組みになっています。スレート瓦にヒビが入ったり、割れてても、防水シートが雨を防いでくれます。
 
 さらに、スレート瓦は、素材の中に繊維が含まれており、雨が降ると繊維が水分を給水し毛細管現象が起きます。
 毛細管現象が起きると瓦の下に水が染み出ますが、防水シートがあるため野地板への侵入を防いでいます。
 屋根は瓦でたくさんの雨を防ぎ、それでも侵入してきた雨を防水シートが防いでいます。
 
 つまり、雨漏りの原因は、防水シートに何らかの不具合が生じることです。
 どんな不具合かというと、防水シートがちぎれる、穴が開くなどした部分から、下地材の木(野地板)を通じて雨が染み込んで雨漏りが発生ます。
  
 野地板(のじいた)は屋根の骨組みの木材と接しています。雨水が野地板に染み込むと、木を伝ってじわじわと広がっていき、木の保水力を超えると「ぽたぽた」と水が滴り落ち始めます。
 染み込んだ雨は伝わり方によってはポタポタと水が落ちずに、壁を伝い、壁紙に「雨染み」を作ります。雨染みを見つけ、雨漏りを実感する方が多いのですが、雨染みができた場所に雨漏りは発生していません。
 
 訪問販売が「スレートにヒビが入っているから雨漏りする!」という説明は正確ではありません。
 屋根瓦はスレート瓦にヒビが入っているだけでは、防水シートが正常なら雨漏りはしませんし、そもそも、防水シートが無事かどうかは実際に屋根を見てみないとわかりません。
 屋根に上っていない訪問販売員が見ただけで、雨漏りするか判断できないので、突然の指摘に慌てないでください。
 ヒビが入ったスレート屋根。しかし、防水シートまで被害が及んでいるかは近くで確認が必要です。
 

釘穴が切れ目の原因

 防水シートが雨漏りのキーマンであることがわかりました。では、どうやったら防水シートはちぎれたり、穴が開くのでしょうか?
 
 建物の構造をご説明した際に、「防水シートを全面に敷いた上にスレート瓦を重ねるように並べ、釘で止めていきます。」と説明しました。少し乱暴な表現をするなら「スレート瓦を止める為の釘が防水シートを貫通させ、野地板、垂木にまで穴を開ける。」ということです。
 スレート瓦を取り除いた様子。防水シートが水分を含み、野地板を腐食させていました。
 
 瓦を固定するために必要な釘が防水シートに穴をあけてしまいます。施工直後は密着しているため水が浸入することはありませんが、何年か経つと釘が抜けることがあり、そこから雨漏りが発生しやすくなります。
 
 釘抜けの原因は
  • 木材が湿気を吸ったり、乾燥したりを繰り返した為、釘穴が広がる。
  • 地震や風による振動で抜ける。
  • 木材の湿気や、風雨にさらされたことにより釘が錆びる。など
 原因は1つではなく、複数あります。
めくれた屋根
抜けかけた屋根の釘。放っておくと抜け雨漏りの原因になってしまいます。
 
 また、スレート屋根が普及し始めたころ使用されていた防水シートは紙でできていた為、年月が経つと強度が落ちてしまい、地震などの衝撃で、釘が刺さった部分からちぎれてしまうことがありました。
紙ではちぎれやすいため現在は、切れにくい素材になっているほか、断熱性や強度を上げるなどの機能を付けた様々な高機能な防水シートが作られています。
 
 以上の点から、スレート屋根の雨漏りはスレート瓦が原因ではなく、その下の防水シートに異常が起きることで、発生することがわかります。
 

雨水はどこからやってくる?

板金部分の腐食から

棟板金
 
 「棟(むね)」という屋根の一番高い場所に雨が入ってこないように屋根を抑える部材としてあるのが「棟板金(むねばんきん)」
 風雨や紫外線で劣化し腐食し、釘抜け、錆による穴あきが発生しやすく、雨水が侵入やすい場所です。
 屋根が急こう配の家、急斜面に立つ家の場合、風でめくれることもあるため、注意が必要です。
 
 屋根が二つ交わる場所を「谷(たに)」と呼びます。
谷板金
 2方向からの雨が流れ込んでくるため、水が流れやすい様に、道を作ったのが「谷板金(たにばんきん)」です。
 水分は建築資材を傷めるため、他の部分より水量が多い谷板金は傷みが出やすい場所です。
 また、地域が限定されますが、船橋市・市川市などの海が近い地域は、潮風があたるので、塩害による腐食が見られます。
腐食した板金。釘も抜け、錆も見受けられかなり傷んでいるのが分かります。

 不適切な屋根塗装

出荷直後のスレート屋根
 スレート屋根は工場で作られたときに表面に塗装が施されています。そのため、定期的な屋根塗装が必要ですが、不適切な屋根塗装をしたために雨漏りが発生したというケースがあります。
 
 塗装をすると、瓦と瓦の隙間に塗料が入り込み、隙間をふさいでしまいます。
 スレート屋根も木材同様、吸湿と乾燥をしています、雨の時に、スレート瓦が毛細管現象により吸い込んだ水を、排出するのが瓦と瓦の隙間です。そのため、屋根塗装を行う際には「縁切り」という、隙間を作る工程が必要になります。
 縁切りをしていないと、スレート瓦とスレート瓦の間にたまった水は、流れ出る場がなくなり、釘穴や防水シートの隙間から野地板に侵入し、雨漏りが発生します。
 

雨漏りの修繕方法

葺き替え

 既存の屋根を取り払い新しい屋根を作る工事。
 すでに雨漏りが認められ屋根材・構造部分に相当な傷みがある場合は、建物全体の耐久性などを考え、葺き替え工事を行います。下地の劣化状況から重ね葺きが難しい場合、一度既存のスレート屋根を撤去し、野地板を交換し、必要箇所を修繕し新しい屋根材を施工します。
 

重ね葺き

 既存の屋根の上に新しい屋根材を設置する工事。
 既存の屋根がアスファルトシングル・コロニアル屋根の場合は基本的にカバー工事が可能です。セキスイかわらUというスレート瓦を使っている家の場合は、重ね葺きができません。屋根材としての耐久性が低く、上に屋根材を設置する工事に耐えられない為です。
 雨漏りが発生している場合は被害の状態と屋根の劣化状況によっては、重ね葺きが難しい場合があります。
 

板金交換

 板金だけ交換したい。というご相談もいただきますが、板金が傷んでいる場合、骨組みである垂木という木材も交換します。
 スレート瓦の下は防水シート、野地板、垂木という順番です。
 板金部分は、防水シート、垂木、と骨組みに近いため、より腐食に強い樹脂製の垂木に変更します。ただ、単純に板金を交換するのではなく、屋根全体の経年劣化を比較し、判断します。
 
 

まとめ

 スレート屋根の雨漏りは、地上からの目視だけでは判断できません。しかし、自分で屋根に上って確認するのは、大変危険なので、必ず業者に依頼しましょう。
  • 築20年、外壁や屋根のお手入れをしていない
  • 板金に錆が見える
  • 室内に雨染みがある
 心当たりがある方は総合リフォーム店へのご相談をおすすめします。その時には職人のカンによる調査ではなく、お客様自身も見てわかる調査をしてもらうことをおすすめします。
 
 
 
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